※根知情報発信ブログでは、根知広報誌の2月号、3月号をベースに、スペースの都合で省略している内容等を補足したものです。よろしくお願いします(^^)。
私の活動も間もなく3年となり、この3月末で退任することになりました。皆様には本当に言葉では表しきれない程お世話になり、心より感謝申し上げます。今月と来月号で活動の総まとめをいたします。まだまだ根知についてわからないことだらけですが、だからこそ見える点もあろうと、本音の活動報告です。
① 今の世の中全体と中山間地の様子
それにしても、世の中本当に「お膳立て」「先回り」社会ですね。本物の経験や失敗ができない、情報に溢れ受け身の生活。そして「お金」社会。便利・効率・競争至上主義の世の中です。都市部だけでなく糸魚川も例外ではありませんでした。私といえば、日々の生活に追われ、家族で過ごす時間も少ない。60代より若い世代は70代以上の方々に比べ人間力が弱まっているようにも感じます(認めたくないですが…)。今の流れで行くと、中山間地が立ち直ることは難しいでしょう。経済中心のルールではない、それを超えた中山間地らしい生き方が必要な時代にきていると思います。
② 根知をみてきて
ここ根知は地理・自然環境は申し分ない魅力があり、揃っています。地域活動も50年以上前から活発で、青年団活動も熱意に満ちていましたね(「団報」熟読しました)。
人も魅力的です。お一人おひとりにドラマがあります(過去にごく一部ですがインタビュー記事で紹介しました)。若者も少なくありません。本当は今の課題なんか吹き飛ぶ力があると思います。だけれども中山間地の課題を根知も抱えています。
集落を見てみましょう。根小屋、東中は「眠れる獅子だなぁ」と感じてきました(秋祭りでその本来の力を垣間見られますが)。山寺の伝統を維持する目に見えない域の迫力。和泉の常会の半数が次世代(若い)というバランスの良さ。上町屋のユニークな集落運営とアメリカ的(?)な活発な議論。他の集落もみんな特徴的で魅力的です(ここで紹介できないのが残念です)。なぜ今の根知の課題が存在するのか?
やっぱり根知は大きく、広い。3年間の活動で感じた事の一つは「地域の情報が一人ひとりの心に届いていない」ことでした。今、意識的に「つながる」ことが必要なのだと感じます。
これからの根知のために鍵(キー)になるのは、
- 毎月の全世帯が集まる集落常会…6集落に残る(他地域では珍しい)「全世帯が集まる月一回定例会」
- 老人会…他地区ではどんどん解散してなくなっているけれど根知では3つも残っている老人会。
- 根知が誇る実力グループ・団体…外から見たら大変に見えるけれど、メンバーは楽しくてやっている「人の集まりの本質」が詰まった「キャンドルロード」(実行委員会)やベルリングガールズ、チーム姫川さんや「もうけ」目的ではなく「集まって楽しくのんびり」をモットーに10年以上の実績が続く(草刈り等を中心の)超実力集団「ほたる会」などの本当に多様なグループ・団体。伝統文化を守り受け継ぐ「ふるさと忘れぬとも」(石場かち保存)や「盆踊り保存会」。ほかにもたくさん活動しているグループ、団体があります。これだけの数存在することは本当に特別な地域です。
③ 今の根知に必要なこと
根知でお聞きしたお話しの中に、実行すればどんどん地域が良くなる「魔法の3事項」があります。
①自主自立
【補足】自分たちが生きる地域は自分たちで運営する、お金ではなく自分たちの汗と時間で手の届くレベル、身の丈の活動から地道にやっていく、ということは(大変でも)本当は非常に面白くて楽しいことなんだろうと感じてきました。自分が住んでいて楽しい、毎日朝起きるのが待ち遠しい、という地域を目指して日々活動していくこと、そういうところからも自主自立につながっていくのではないかと、これから地元でも活動していこうと思っています。
②全員参加
【補足】全員参加というのは、集落や地域全体の集まり、総会などで参加メンバー全員が集まって決定すれば「全員参加」とは言えません。何か大きなことを決めるときに「賛成の人は手をあげて(拍手して)ください」といって多数決で決めるというのは大きな落とし穴となる場合があります。もしかしたら声の大きな人、強引な人の目を気にして手を挙げている人がいるかもしれません。地域の中の様々な事情での「弱い立場の人」への配慮も必要です。その地域、集落にとって重要なことを決めるときは、無記名での賛成・反対記入による投票など、工夫が必要不可欠です。私は実際に根知だけでなく他の地域でも、このような配慮があるかどうかで地域運営が成功、失敗している例を何度かみてきました。
③地域情報全員共有
【補足】地域情報の共有というとき、2点注意する必要があると思います。一つは「情報を持っている立場の人は、持っていない人の立場が分かりにくい」ということ。実際の現場で「このことは別に公開する(共有する)必要はないね」といった判断がされますが、それは知らされていない人が判断すべきことかもしれません。可能な限り集落、地域の範囲であれば情報は取捨選択せずオープンに全員で共有するべきです。そうしないと自発的、内発的な地域への関心や行動が生まれません。※不要なら受け手が無視すればいいでしょう。人によって必要とする情報は多様です。二点目は情報の質です。表面的な「○○がありました」といった情報をいくら流しても地域運営の改善、活性化にはつながっていきません。客観的な事実はもちろん大切で、そこを正直に本当の内容を共有することは必須条件ですが、それとは別にそこに住む人の思い・気持ちが共有されないと「つまらない情報」になってしまうことがあります。広報誌を2年かかわって痛感しました。「生きている情報」を全員で共有すること、がとても大切です。
そしてどれだけ技術が発達しても、いつの時代でも、「直接会って心から話し合うこと」が生きる上で必須だということも。
【補足】実際に会って生で話すことは本当に必要ですが一点注意すべきことがあります。実は、根知に限らず他の地域でも、今現在、本当にたくさんの集まりが日々行われています。ただそこで話される中身が問題です。事務的なこと、毎回決まりきったこと、表面的なことが多いのではないでしょうか。気を付ける必要があるのは、よくやられているワークショップなども短期的な問題の分析解決の方法を決めるのには有効ですが、「これからの地域をどうするか」といった人の本質に触れる必要のある、時間をかけて深く掘り下げた着地点が必要な問題、話題に対しては効果が少ないことがほとんどです(実際いやというほどみてきました)。それにそのような問題に対して、ワークショップでは時間が少なすぎることと自発的ではない話し合いが多いという傾向もあります。「心から話し合うこと」とは人が自身の内面の本音の部分を自発的、内発的に出して、議論を避けずに徹底的に(時間を気にせず)、心から解決したいことを話し合う場、時間のことではないでしょうか。
では根知で「具体的」には何を?私からのご提案は
「集落全世帯による月一回定例会に、世帯代表以外の方も参加する」
ことです。中学生以上(小学生もOK)は世帯で何人でも参加してみてほしいです。そして、この定例会(常会)が「自分たちのことは自分たちでやる。できなければできるための行動を」(自主自立)。「様々な立場の同じ集落の人たちが平等に参加でき」(全員参加)。女性も若者も「みんなで集落、根知の本当の姿を知る」(地域情報全員共有)ことから変化が起こると思います(それはいずれ素敵な変化に繋がると思います)。
※定例会がない集落は組単位でまずは実施してみてはいかがでしょうか。また、少人数集落(区長選出困難等)は他の集落との共働運営も具体的に視野に入れていく必要がでてきています。
振興協議会や地域づくりのメンバーも、各集落定例会に足を運び、お一人おひとりの声を「直接」きいてみると新たな発見があるかもしれません。
さて、私は4月よりNPO法人(社会的企業)設立に向けた活動をします。1日の仕事は6時間以内。朝夕は田畑、家族との時間、地域活動をしていける会社・しくみを目指します。それは街中ではなく中山間地になくてはいけません。相当無茶ですが、できるまで挑戦したいと思います。(想いはキャンドルロードで学びました(^^))。ご興味のある方、ご一緒にいかがですか?
この3年間の活動で根知の多くの方々と、簡単には切れない心のつながりができました。一生の財産です。そして4月以降も、新しい活動の中で、どうか根知の皆さんとお付き合いを続けさせていただければ、と思っています。
新しい集落支援員さんは4月中旬から活動予定です。(私同様)最初の1年間は試行錯誤ばかりで目に見えた活動はできないかもしれません。どうぞ長い目で見守っていただければ幸いです(私も引継ぎで時々一緒に行動予定)。
2年間続いたこのコラムもいよいよ最後になりました。皆様 本当にありがとうございました。そして根知がますます素敵な地域となりますよう、心より願っております。(完)
記事:集落支援員(近藤)
近藤さん、3年間お疲れ様でした。日吉社大祭の見守られ隊のあたりから、グッと近づけましたね。楽しく、そして有意義な3年間でした。新しい仕事と暮らし、大いに楽しんでください(^_^)v
返信削除そして、これからも根知をよろしくお願いします。まだまだ、一緒に楽しみましょう^o^
3年間の間の近藤さんの活動を遠くからですがちらちら垣間見ておりましたが、普通以上の努力があったのは誰しもが認めるところです。任務に対してひたむきに活動し、地域住民の中へ真剣に溶け込もうとする姿は高く評価されるべきでしょう。標準的な公務員らしからぬ近藤的信念に基づいたいままでの業績にに大きな賛辞を送ります。これからの新たな活躍を期待しております。 御前山 中島弘
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